永訣の朝―宮沢賢治挽歌画集

永訣の朝―宮沢賢治挽歌画集

宮沢賢治はずっと苦手な作家だ。

宮沢賢治を素直に受け入れることができなかった
小学生時代の自分には、戻りたくない。
幸せじゃなかったのかな、って思う。
10歳前後の心理状況っておもしろい。
他人には理解できないようなことに幸せを感じ、
優越感を感じ、
恐怖を感じ、おびえて、
そのおびえが10年以上たった今でも
心のどっかに残っている気がする。
そんな部分を、宮沢賢治を読むと思い出してしまう。
あまりにも、
美しい世界
を信じて求めているので
怖くなる。

幸せ
しか知らない人間が
幸せ
を心底求めている表情を見ると、
どうも眉間にシワが寄ってしまうという
へそが曲がったところが私にはある。

宮沢賢治
すごく苦労した人間なのに、
こんなに
素直に
幸せ
を求められるものなのかと
そういうところへの
敢えて言うなら”屈辱感”みたいなところが
自分のおびえにつながっているのかなと思ったりする。


『おまへがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが天上のアイスクリームになって
おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ』