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- 作者: 増田四郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1994/08
- メディア: 文庫
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世界史を好きになり始めた頃、初めて手にした”学者”が書いた本。
どんな場面でも、「初めて」のものは貴重だ。
それだけで意味があるから。
今でも大切な本。
西ヨーロッパにおける近代資本主義社会の中での「市民」についての考察。
「都市」「市民」という概念から、「自由」の意味を問う。
「精神史として社会経済史を描いてみたい」
と増田四郎が語っていたのを、その後別の本で読んだことがある。
「都市」は、その代表的な本なんだろうな、と感じた。
まだ商業学校だった今の一橋大学で、
こういった研究を進めるには組織的にも多くの戦いがあったと思う。
そんな難しい環境の中でも研究を続け、学長にまでのぼりつめたのにも納得する。
今読んでも、全く違和感がないのだ。
日本という国は、その成り立ちからも本当に独特だと改めて感じる。
この独自性が、プラスに働く時代は終わり、これからどうなっていくのだろう。
閉ざされた日本は、
変えられるものと変えられないものを
識別することができるのだろうか。
「自分は素人として歴史学を学んできた」
というのが増田四郎の口癖だったらしい。
美しい日本語と、するどい洞察と、謙虚な姿勢と、
表紙の写真の本当に優しいお顔を見ていると、
なんだか泣きそうになってしまう。
大切な本。